ウイスキーの保管で注意するべき5つのポイント!風味を損なわずに長期保存する方法とは

飲みかけのウイスキーが劣化しないか心配になる
ウイスキーってどのくらいの期間、保存できるんだろう?


ウイスキーをいろいろ試してみたいとき、飲みかけのウイスキーが多くなって保存が心配になることもあります。1本のウイスキーでも、一人ではなかなかすぐに飲みきることはないもの。


できるだけ風味や香りを劣化させずに、最後まで楽しみたいですよね。


今回は、ウイスキーを劣化させずに保存する方法について考察します。保存するときの大切なポイントやおすすめの保存方法を紹介。また、保存についてよくある疑問についてもお答えします。


記事を見れば適切な保存方法について知ることができ、いつまでもウイスキーを楽しむことができるでしょう。

ウイスキーに賞味期限はない


「ウイスキーはいつまで美味しく飲めるのだろう?」と迷うこともあると思います。実は、ウイスキーには賞味期限はありません。ウイスキーは蒸留酒でアルコール度数が40度〜46度と高く、雑味成分がほとんど残っていないからです。未開封で保存状態が良ければ、長期間安定した品質を保つことができます


ただ、ウイスキーは樽の中で熟成するものの、瓶詰め後はさらに熟成することはありません。一番美味しい状態で瓶詰めしているので、賞味期限がないとはいっても早めに飲むのが推奨されています。

蒸留酒であるウイスキーは長期保存が可能


ウイスキーが長期保存できるのは、蒸留酒だからです。醸造酒であるワインや日本酒は風味が劣化しやすいのに対し、蒸留酒であるウイスキーは劣化しづらいという特徴があります。

蒸留酒と醸造酒の違い

醸造酒は穀物や果実を酵母によって発酵させたもの。
・大麦が原料→ビール
・果物が原料→ワイン
・白米が原料→日本酒
蒸留酒は、これら醸造酒をさらに蒸留して造った酒のこと

原料となる成分が残る醸造酒は、開封したあと時間の経過によって酸化が進みます。味や香りが変化し、1週間も持ちません。


一方、蒸留酒は醸造酒を加熱し、エタノールを蒸発させてアルコールを凝縮させています。不純物が製造過程で取り除かれて「シンプルでアルコール度数の高い酒」になり、開封後も醸造酒ほどには風味が損なわれません


未開封であれば長期保存ができるのは、蒸留酒ならではということです。

ウイスキーを保管するときの5つのポイント


賞味期限がないとはいえ、いつまでも同じ状態というわけではありません。醸造酒ほどではないにしろ、長期保存となると品質は徐々に劣化していきます。


ウイスキーの品質が劣化すると金属のような匂いやカビ臭さなど、「オフフレーバー」と呼ばれる状態になることもあります。オフフレーバーが発生するとウイスキーの芳醇な風味が台無しになり、本来の美味しさを楽しむことができなくなります。


できるだけ劣化を防ぐためには、次に説明する5つのポイントを意識することが大切です。

ウイスキーを保管するときのポイント

・直射日光を避ける
・高温になるのを避ける
・湿度は高すぎても低すぎてもダメ
・周囲の匂いが移るのを避ける
・ボトルを横にしての保管を避ける

1つずつ説明します。

直射日光を避ける


ウイスキーは、直射日光が当たらない場所に保管しましょう。ウイスキーに限らず、お酒は光によって成分が分解してしまいます。特に太陽の光は禁物。


太陽光に含まれる紫外線のエネルギーは強力で、光を遮る工夫をしているウィスキーボトルでも貫通して成分が変質してしまいます。直射日光が当たる場所はもちろん、太陽光で明るくなる部屋も避けましょう


また、光そのものも劣化の原因になるので、電気の光が当たらない暗所に置くことが大切です。

高温になるのを避ける


ウイスキーは高温な場所もNGです。温度が高い場所や温度変化が激しい場所は避けましょう


直射日光のあたって温度が高くなる室内はもちろん、ガスコンロや暖房器具のそば、テレビやパソコンなど使用時に熱を発する機器の近くに置くのは控えてください。


家の中で一番暗くて涼しく、温度変化のない場所が適しています。理想は室温10℃〜15℃が維持される場所。ワインセラーの保管温度も同じぐらいで、一番お酒に変化を与えづらい温度とされています。家の中では、押し入れやクローゼット、食器棚の奥などがいいでしょう。

湿度は高すぎても低すぎてもダメ


湿度についても注意が必要です。湿度は高すぎても低すぎてもダメ。湿度が高くなるとラベルが腐る、瓶がカビるなどの原因になり、風味に影響してしまいます。


一方、湿度が低くなるとコルクが乾燥し、酸素や微生物がボトル内に入って風味に影響する場合があります。ベストの湿度は60~70%ほど。家庭の通常の環境であれば過度に心配する必要はありませんが、冬の乾燥しやすい季節、夏の湿度が高い時期はあまり長く保管しない方がいいでしょう

周囲の匂いが移るのを避ける


ウイスキーは周囲の匂いが移る可能性があります。ネギや玉ねぎ、ニンニクなど匂いの強い野菜、 強い香りのある調味料などの近くに置かないようにしましょう。


クローゼットや押し入れは保管に適した環境ですが、防虫剤などを一緒に置くのは避けてください

ボトルを横にしての保管を避ける


ウイスキーボトルを横にして保管するのも避けましょう。特にコルク栓のウイスキーの場合は要注意です。長期間横にしておくとコルクが収縮し、隙間から中身が漏れる可能性があります


また、ウイスキーはアルコール度数が高いので、横にしてコルク栓にウイスキーが触れている状態が長く続くと、コルクの匂いが付着してウイスキーの風味に影響を与えてしまうこともあります。

ウイスキーの長期保存に役立つアイテム5選


ウイスキーを美味しく保つポイントをしっかり押さえるために、一緒に使うと役立つアイテムがあります。


5つ紹介しますので、保存するときに試してみてください。各商品には優先度が記載されています。すべて試すことはできなくても、できることから取り組んでみるといいでしょう。

【優先度:★★★★★】空気を通さないので風味を逃さない「パラフィルム」


空気を通さない素材のパラフィルムをコルクの上から巻くことで、保存状態を格段に高めることができます。密閉状態が維持されるため、ボトルとボトルキャップとのわずかな隙間からアルコールが抜けたり、外気が入るのを防ぐことができるのです


ウイスキー開封前・開封後の両方に効果的。巻き方も簡単です。小さく切って少し伸ばしながら密着させていくことで、蓋の僅かな隙間を埋めてくれます。ベトベトせずに巻きやすく、剥がしたあとも瓶には何も付着しません。


テープを巻くだけで保存状態に大きな差が生まれるので、最優先で取り入れることをおすすめします。

価格:2,883円


【優先度:★★★★☆】酸化を防いで風味や香りを保つ「プライベート・プリザーブ」


プライベート・プリザーブは飲み残したウイスキーの表面にガス層を作り、酸化による劣化を防ぐ商品です。ボトル内の酸素濃度を下げることで酸素が液体表面に触れることを防ぎ、ウイスキーの風味や香りを保つことができます


もともとワイン用の商品で、多くのワイナリーで採用されているもの。ウイスキーもワイン同様の効果が期待できます。他のお酒や食用油、酢・しょうゆなどの調味料にも使えます。使用方法は、3~4回吹き込むだけ。開封したけどすぐに飲み切らないウイスキーに使うのが便利です。長く風味や香りを楽しむことができます。


優先度はやや高め。「いろいろなウイスキーを試して飲み切らないウイスキーがたくさんある」という人、「飲む頻度が少なく、1本をなかなか飲みきれない」という人におすすめです。通常750mlボトルで約90回使用できるので、1本手元に置いておけば長く使うことができます。

価格:2,451円


【優先度:★★★☆☆】最後まで香りを楽しめる「密閉できる小瓶」


開封して半分以上ボトル内のウイスキーがなくなってきたら、小瓶に移し変えましょう。最後まで香りを楽しむことができます。容量が減ったボトルの場合、空気(酸素)が多く占めることになり、どんなに密閉しても酸素がウィスキーを酸化させてしまいます。風味や香りを損ねてしまうでしょう。


小瓶に移し変えることでボトル内の空気(酸素)が少なくなり、酸化を抑えることができます。優先度は他に比べるとやや低め。小瓶に移し変える手間がかかりますが、面倒でなければ試してみてください。ウイスキーの風味や香りを最後まで楽しむことができます。

【優先度:★★★☆☆】ラベルのヘタリを防ぐ「サランラップ」


パラフィルムを巻くついでに、サランラップをラベルに巻くのもおすすめです。特に湿度が高い時期はラベルに巻くことで、湿度でヘタってしまったりカビたりするのを防ぐことができます


ウイスキーの中身とは直接関係ないので、優先度は低めです。プレゼントにもらったものなど特にこだわりのあるボトルや、長く保存したいレアボトルなどには、ラベルを綺麗に残すためにぜひ行ってみてください。

【優先度:★★★★★】光を遮断して衝撃を吸収する「販売されてたときの箱」


ウィスキーを購入したときの箱は捨てずに、そのまま入れて保管することをおすすめします。ウイスキーの外箱は厚手の紙でできているものから高級感のある木箱まで、価格によってさまざま。光や匂いなどからウイスキーを守るように作られています。箱に入れておくことで直射日光を防ぐことができ、振動などの衝撃も吸収しやすくなります


さらに徹底したいときは、箱とボトルの間にアルミホイルを差し込んでおく、あるいはボトルそのものに巻きつけておきましょう。完全に光を遮断することができます。


家の中でなかなかいい保管場所が見当たらない場合は、販売されてたときの箱に入れて日光の当たらない場所に置いておくのがベスト。ぜひ最優先で行なってください。

ウイスキーの保存に関するよくある質問


ウイスキーを保存するとき、多くの人が感じる疑問についてまとめました。一度は考えたことがある内容があるかと思います。ぜひ参考にしてみてください。

冷蔵庫の中に保存していいの?


冷暗所がいいなら、冷蔵庫が最適なのではないかと考える人も多いのではないでしょうか?しかし、ウイスキーを冷蔵庫に入れるのはNGです。


ウイスキーを冷蔵庫に入れると、他の食材の匂いが移る恐れがあります。特に開封後のウイスキーは要注意。匂いが移って風味や香りが損なわれます。


また、ウイスキーを冷やすこと自体、ウイスキー本来の複雑な香りが失われることになります。香りがまったくなくなるわけではありませんが、ウイスキーの醍醐味のひとつであるグラスに注いだときの香りが立ち上がりにくくなってしまいます。


また、冷蔵庫は毎日開閉するものなので、振動を常にウイスキーに与えることになります。ウイスキーに限らず、酒類に振動は禁物。品質が劣化してしまいます。


ウイスキーは開封前も開封後も、冷蔵庫で保存するのはやめましょう。

ワインセラーの中には保存していい?


自宅にワインセラーがある人は、ワインセラーにウイスキーを保存するのがおすすめです。ウイスキーよりも繊細なワインを貯蔵するワインセラーは、温度や湿度、暗さまで徹底管理されている理想的な保管場所。ウイスキーを保管するのにも適しています


ただし、ボトルを横にしないといけないタイプのワインセラーはNGです。コルクが収縮して漏れ出す恐れや、コルクの匂いが染み出してウイスキー本来の香りを損ねる可能性があります。


ワインセラーに保存する場合には、ウイスキーを立てて収納できるものに限ります。

保存期間が長くなると熟成が進んで美味しくなる?


ウイスキーを置いておけば、そのまま熟成が進むと思う人もいるかもしれませんね。しかし、熟成が進むのは樽の中のみです。瓶詰めしたあとに熟成が進むことはありません。


保存方法が適していれば良い状態を保つことはできますが、最も美味しいのは出荷時点です。放置すればさらに美味しくなるというものではないということは、知っておきましょう。

偶然見つかった古いウイスキーは飲める?


大掃除をしていたら、棚の奥の方から古いウイスキーが見つかったなんてことがあるかもしれません。飲んでみたいけど本当に飲んで大丈夫なのか、気になりますね。


最初の項目で説明したように、基本的にウイスキーの賞味期限はないので飲むことはできます。


しかし、保存状態によっては酸化やアルコールの気化によって風味が損なわれている可能性があるでしょう。未開封なのに、アルコールが揮発して容量が少なくなっている場合もあります。明らかに容量が減っている場合、味や香りにも影響している可能性が高いもの。開けてみて金属やカビの匂いがするなど変質があるようなら、ボトルキャップを変えてみるという方法があります。


特にプラスチックのキャップや金属のキャップの場合にこのような臭いの変化が起きやすいので、コルクに変えてしばらく置いておくのがおすすめです。コルクを通じてわずかな空気を出入りさせることで、香りを回復させることも可能になります。

風味が劣化したウイスキーはどうすればいい?


風味が劣化してしまったウイスキーは、ストレートやトワイスアップなど、ウイスキーの味わい深さを堪能する飲み方は避けたほうがいいでしょう。変化した匂いなどをごまかすことができず、味わいを楽しむことができません。


しかし、ハイボールであれば、炭酸の爽快さで品質の劣化を隠すことができます。オレンジやグレープフルーツを絞れば、さらに美味しく飲むことができるでしょう。

大切なウイスキーは保存方法をしっかり意識しよう


ウイスキーは賞味期限がないので長期保存も可能ですが、ずっと美味しく味わうためには保存方法に注意しましょう。最良の環境に保管することはもちろん、パラフィルムを巻くなど積極的に対策を行うことで、より長くウイスキーを楽しむことができます


記事の内容を参考に、大切なウイスキーをいつも最高の状態で堪能してくださいね。

ウイスキーのベストな保管方法

・直射日光を避ける
・高温や温度差のある環境を避ける
・適度な湿度であること
・周囲に匂いの強いものを置かない
・ボトルを横にして保管するのを避ける
・コルクの上からパラフィルムを巻く
・購入した時の箱に入れて保管する