スモーキーなアイラの象徴「ラフロイグ」とは?愛される3つの理由とおすすめの飲み方
「そろそろ上級者向けのウイスキーに挑戦してみたいけど不安…」
「ラフロイグってどんなお酒?どの銘柄がおすすめなの?」
ウイスキーに飲み慣れてくるとスモーキーで癖の強い上級者向けの銘柄にも興味が出てくるもの。ウイスキーファンの間で上級者向けながら熱烈なファンの多いジャンルで有名なのが「アイラのシングルモルト」です。
そして「アイラモルトの王」と呼ばれる代表的銘柄が、今回ご紹介する「ラフロイグ」です。「薬品のよう」と形容される強烈な個性を持ちながら、長く世界中で愛されるのは何故なのでしょうか。
本記事では、ラフロイグの特徴や現行品のおすすめ銘柄を取り上げると共に、おすすめの飲み方やラフロイグ以外のおすすめアイラモルトもご紹介します。
ウイスキーファンとして一歩深く楽しみたいと思っている方には特におすすめです。早速見ていきましょう。
ラフロイグとは?
「ラフロイグ」は、スコッチウイスキーの蒸留所の名前、及び製造されるシングルモルトウイスキーの銘柄です。
「シングルモルト=1つの蒸留所の原酒だけで造られたウイスキー」を指し、蒸留所ごとの個性やこだわりがしっかり反映されるのが魅力。
ラフロイグのウイスキーは「正露丸」や「ヨードチンキ」など薬品臭にも例えられる、癖になる香りと味わいが特徴です。まずは個性的なウイスキーを生み出すラフロイグ蒸留所について見てみましょう。
ラフロイグ蒸留所の立地
ライフロイグ蒸留所はスコットランド西海岸沖にある「アイラ島」に所在しています。アイラ島のウイスキーには、磯や潮など海を彷彿とさせる「ヨード香」と呼ばれる香りや、燻製を彷彿とさせる煙臭・スモーキーさなど独特な個性があります。
アイラ島の4分の1は「ピート(泥炭:でいたん)」の湿原に覆われています。ピートとは、野草や水生植物が炭化してできた「泥状の炭」で、スコッチウイスキーでは原料のモルト(麦芽)の乾燥の際、ピートを燃料に使用します。
アイラ島は海に囲まれているため、同じピートでも海藻や貝類、海産物が豊富に含まれており、他のスコッチウイスキーとは一味違った独特の香りを生み出す理由となっています。
ラフロイグではピートをしっかり効かせることで、「ピーティ」と言われるスモーキーなウイスキーを造っています。ピート香に関しては後ほどにもご紹介します。
ラフロイグの歴史
ラフロイグ蒸留所の創業は1815年。創業者のジョンストン兄弟は、もともと牧畜と並行して大麦を原料としたウイスキーを造っており、島内で評判が良かったためウイスキーの製造に事業を絞りました。
以降ジョンストン兄弟の子孫が経営をしていましたが、1887年に経営権がハンター家に移ります。1954年に死去したオーナーのイアン・ハンターの遺言から、経営権はイアンのマネージャーだったベッシー・ウィリアムスへ。
現在のラフロイグの製法はベッシーによって確立された部分が大きいと言われています。独自のフロアモルティング(ウイスキーの製法名・後ほど解説)を導入し、品質保持をしつつ生産性の向上を実現しました。
さらに熟成樽にテネシー産のバーボン樽を導入したのもベッシーです。1970年まで所長を務め、現在まで続くラフロイグの味・名声をもたらしました。
現在までいくつかの企業に買収され、現在はサントリーホールディングスがラフロイグ蒸留所を所有しています。
ラフロイグの製法
ラフロイグの製法の特徴を簡単にまとめると以下の4つのポイントが挙げられます。
- 独特の香りをもたらす仕込み水・ピート・大麦麦芽
- 古典的な製法「フロアモルティング」
- ピート香を含ませる乾燥工程
- バーボン樽による熟成
それぞれの特徴についてご紹介します。
ピート香をもたらす原料
ラフロイグで使われる仕込み水は、ピートを含む地層を浸透してきた水。そして麦芽の乾燥の燃料になるピートは、アイラ空港近くの湿原にある専用のピートボグ(採掘場)から採取したヘザー(ツツジ科の植物)とコケ類、海藻を含んだ水分量の多いもの。
上記の原料に含まれる豊富なピート香・海の香りが、ラフロイグの個性的なピーティ・スモーキーな香りをもたらしています。
また大麦にはオックスブリッジという品種を使い、そのうち15%は蒸留所での製麦。一部を自前で製麦していることも味わいに重要な役割を果たします。
古典的な「フロアモルティング」を採用
仕込み水にしっかり浸水させた大麦を床に広げ、8時間おきにすき返して(根が絡まないよう撹拌する)発芽を促します。ラフロイグはこの作業を人力で行う「フロアモルティング」を現在も行っている蒸留所です。
フロアモルティングは大変な重労働かつ非効率ということで、ほとんどの蒸留所が外注によるモルティングに切り替える中、蒸留所の個性が出しやすいフロアモルティングを続けるところにラフロイグのこだわりが感じられます。
大麦がほどよく発芽した後は、乾燥室で発芽を止め、30時間の乾燥に移ります。
ピートを焚いて香りを含ませる
30時間のうち大麦が湿っている12時間は、先述の専用ピートを焚いてピート香をしっかりと付着させます。残りの18時間はピートの熱に加えて入り江から吹き込む潮風も取り込んで、土地ならでは香りや甘味も含んだ燻煙でラフロイグならではの麦芽(モルト)に仕上げます。
完成した麦芽は糖化・発酵・蒸留工程を経て原酒になり、樽での熟成へ進みます。2段階の蒸留工程のうち、後段で使用される再留器のランタン型の形状が、特徴的なスモーキーな香りに影響を与えていると言われています。
ファースト・フィルバーボン樽を使用
ラフロイグの熟成樽のほとんどが「ファースト・フィル」のバーボン樽。ファースト・フィルとは、バーボンの熟成に使用された樽に最初に樽詰めして熟成すること。
ファースト・フィルのバーボン樽を使用することで、バニラのような甘い味と香りやクリーミーで滑らかな舌触りをもたらし、単に個性的で癖の強いウイスキーに留まらない深みを与えています。
ラフロイグが愛される理由
先にご紹介したラフロイグ蒸留所の立地や製法の特徴は、そのままラフロイグが愛される理由を生み出しています。本項では、世界中のウイスキーファンを虜にして止まない、ラフロイグの代表的な魅力を3つご紹介します。
海藻を含むピートによるヨード香
ラフロイグ最大の特徴は何と言っても薬品のような強烈なヨード香。「正露丸」にも例えられる癖のある香りは好き嫌いがはっきり別れる部分ですが、一度ハマると抜け出せない魅力があります。
ラフロイグが「好きになるか、嫌いになるかのどちらか。中間は無い」と評される所以でもありますが、潮の香りのようなヨード香と濃厚な味わいのバランスは、長く愛され続ける大きな理由の一つです。
ピート香・スモーキーさの強さを表す「フェノール値」という数値があり、ラフロイグは40~45ppm。アイラ島のウイスキーでちょうど中間と言われる「ボウモア」が20~25ppmですので、ラフロイグはアイラモルトの中でも高めと言えます。
ラフロイグよりもフェノール値が高いボトルもありますが、ウイスキーの味わいは複雑な要因で決まり奥深く一概には言えません。あくまでも参考値として、実際に味ってみるのが一番です。
小型のポットスチルで生まれるスモーキーさ
ウイスキーの蒸留には「ポットスチル」と呼ばれる蒸留器が使われます。ラフロイグでは初蒸器(蒸留の1回目)にストレート型のポットスチル3基、再蒸器にランタン型を4基稼働させています。
小型でくびれたランタン型のポットスチルの形状がスモーキーさを生み出すと言われており、独特の煙臭はラフロイグが愛される特徴のひとつです。
バーボン樽によるバニラの香り
先にご紹介したファースト・フィルのバーボン樽で熟成することで、ラフロイグにはバニラのような甘い香りがあります。
スモーキーで癖のある香りの強さだけではなく、甘い香りとクリーミーさ、濃厚でオイリーな味わいとのバランスの良さも、ラフロイグが多くのウイスキーファンの心を掴んで離さない理由です。
またバーボン樽を主体としながらも、シェリー樽をはじめとした幅広い樽を使用し、新しい香りを取り入れる試みも意欲的に行っています。
ラフロイグのラインナップ
本項からはラフロイグのおすすめボトルを5銘柄ご紹介します。現在ラフロイグの国内販売はサントリーによって行われており、公式サイトに載っているのは最初の2銘柄。
またネット通販では、終売済みのボトルや長期熟成ボトル、さらに並行輸入品で海外向けのボトルなど、さまざまなラフロイグの銘柄を購入できます。
シェリー樽を使用した新感覚ラフロイグ【ラフロイグ セレクトカスク】
現在サントリーが公式販売するラフロイグのひとつが「セレクトカスク」(カスク=樽)
セレクトカスクは、下記の3種類の樽で熟成された原酒をブレンドしているのが大きな特徴。
- 従来のファースト・フィルバーボン樽
- 白ぶどう品種であるペドロ・ヒメネスを使ったシェリー酒の熟成に使われたシェリー樽
- ヨーロピアンオーク材のシェリー樽
3つの原酒をブレンドした後、さらにアメリカンオークの新樽で後熟させるという新感覚のラフロイグです。
ラフロイグらしいスモーキーさに加え、フルーツのような甘味や爽やかな香りが加わり飲みやすくなっているのが魅力。またアルコール度数も後述のレギュラーボトル「ラフロイグ 10年」と比べると低くなっています。
初めてラフロイグを飲む方やアイラモルト初心者の方は、ラフロイグの中ではスモーキーさが少しマイルドな本品がおすすめ。とは言え独特のピート香は健在ですので、「らしさ」もしっかり味わえます。
価格がお手頃で手に入りやすいのもポイントです。
種類 | アイラ・シングルモルト |
香り | スモーキー・ピート香 ココナッツ・バナナなどフルーティー |
味わい | 重厚なスモーキーさ・柔らかな甘味・爽やかな酸味 複数の樽から来る複雑味 |
アルコール度数 | 40% |
価格 | 3,792円 |
おすすめな人 | 初めてラフロイグを飲む人 アイラモルト初心者 癖のあるウイスキーに初めてチャレンジする人 |
強烈にピートが効いたアイラモルトの大定番【ラフロイグ 10年】
ラフロイグのスタンダードボトルとして、またアイラのシングルモルトの大定番として愛され続けているのが「ラフロイグ 10年」
本記事で紹介してきたラフロイグの特徴、つまり薬品や磯の香りを彷彿とさせる強烈なピート・ヨード香にスモーキーフレーバー、バニラのような甘さとスムーズさ、オイリーで濃厚な味わいなど、アイラモルトの個性を存分に味わえる一本。
好き嫌いの別れる癖の強さと個性は、ハマると抜け出せない強烈な魅力です。
ストレートやトワイスアップ(後で解説)でラフロイグらしさを存分に堪能するのもおすすめですが、ハイボールにすると磯の香りの爽やかさが際立ちこちらも美味しいです。
種類 | アイラ・シングルモルト |
香り | 強いピート・磯の香り ヨード香・スモーキー バニラのような甘い香り |
味わい | 濃厚でとろみがありオイリー スモーキーだが甘味もある |
アルコール度数 | 43% |
価格 | 5,880円 |
おすすめな人 | ラフロイグの魅力を堪能したい人 アイラモルトや癖のあるウイスキーに魅力を感じている人 リッチな食後酒や一味違うハイボールを飲みたい人 |
小さい樽で熟成させた力強い味わい【ラフロイグ クオーターカスク】
クオーター=4分の1、カスク=樽からわかるように、通常よりも小さい樽で熟成させた原酒を使用しているのが「クオーターカスク」です。
サントリー公式サイトのページには記載が無い終売しているボトルですが、2019年6月4日に数量限定で販売され、ネットではまだ在庫があり手に入ります。
樽と原酒の設置面が多くなる小樽を使うことで、熟成が早まり通常よりも力強い味わいになるのが特徴。アルコール度数の高さからパンチが効いています。
とはいえ飲みづらいというわけではなく、フルボディながら口当たりは柔らかく、後味もすっきりと軽いのでハイボールにしても良いです。ラフロイグ10年を美味しいと感じたら、飲み比べをしてみると面白いボトル。
種類 | アイラ・シングルモルト |
香り | 力強く爽快なスモーキーさ |
味わい | スモーキーでフルボディだが柔らかな口当たり 後味すっきり |
アルコール度数 | 48% |
価格 | 3,906円 |
おすすめな人 | 一味違ったラフロイグを飲んでみたい人 ハイボールに合うアイラモルトを探している人 パンチの効いた癖のあるウイスキーを飲みたい人 |
受け継がれる蒸留所の技術が結集した限定ボトル【ラフロイグ ロア】
1815年の創業以来受け継がれてきた技術と経験を、次世代へ「LORE(ロア:伝承)」するというコンセプトで造られたのが「ラフロイグ ロア」です。2016年から毎年数量限定で販売されて好評を得ているボトルで、2019年は11月5日が発売日。
ヨーロピアンオークの新樽での熟成後にファースト・フィルバーボン樽でさらに熟成させる「ダブルマチュアード(2度熟成)」原酒の他、蒸留所が保有する複数のモルト原酒をブレンドしているのが大きな特徴。
ラフロイグらしい力強い潮の香りやバニラのような甘味はもちろん、フルーティな果実味やナッツのような芳ばしさなど、さまざまな個性を融合した複雑性が魅力です。
限定品ということで価格は高めですが、ラフロイグが培ってきた酒造りの実力に加え、新たな一面も垣間見える魅力たっぷりの逸品です。
種類 | アイラ・シングルモルト |
香り | 潮の香り・ピート香 ビターチョコレート |
味わい | バニラのような甘み・クリーミーさ ナッツのような芳ばしさ 爽やかな果実味 スパイシーさもある |
アルコール度数 | 48% |
価格 | 10,277円 |
おすすめな人 | 上質なウイスキーの複雑味を堪能したい人 ラフロイグの違う側面を楽しんでみたい人 |
3種の樽で熟成させたマイルドなボトル【ラフロイグ トリプルウッド】
「トリプルウッド」の名の通り、バーボン樽→クオーターカスク→ヨーロピアンオークのシェリー樽の3種類の樽で熟成させることで、味に奥行きと深みがあるのが特徴の本ボトル。
ラフロイグらしいピーティさは比較的控え目で、ココナッツや蜂蜜のようなクリーミーさや甘さが際立ち、フルーティで爽やかな香りがあるラフロイグのラインナップでも親しみやすいボトル。
国内現行品は終売ですが、ネットでは並行輸入品が手に入ります。ラフロイグ10年はきつすぎるという方や、飲みやすいアイラモルトをお探しならおすすめです。
種類 | アイラ・シングルモルト |
香り | マンゴーや柑橘系のフルーティー爽やかな香り ラフロイグらしいピート・ヨード香もあるが通常より控え目 |
味わい | メープルシロップ・蜂蜜・ココナッツを彷彿とさせる甘みやクリーミーさ ヨードの風味・スモーキーさ |
アルコール度数 | 48% |
価格 | 6,585円 |
おすすめな人 | ラフロイグ10年はきつすぎる人 飲みやすいアイラモルトを探している人 |
ラフロイグの選び方
ラフロイグのおすすめボトルをご紹介しましたが、本項ではその中から3タイプ別に選ぶべき銘柄をご紹介します。
初めてのラフロイグなら「セレクトカスク」
初めてラフロイグを飲むなら、しっかりとスモーキーさを堪能できつつほのかな甘さと爽やかさで飲みやい「ラフロイグ セレクトカスク」を選びましょう。
アイラモルト以外の飲みやすいウイスキーと比べれば特有の癖はもちろんあるものの、ラフロイグの中では初心者向けなのに加え、国内正規品で価格も手頃で手に入りやすいのもポイントです。
ラフロイグのヨード香を堪能するなら「10年」
「正露丸」や「ヨードチンキ」にも例えられる、ラフロイグ特有の強烈な磯の香りに興味があるなら「ラフロイグ10年」を選びましょう。
スタンダードボトルなので実店舗・ネット問わず多くの場所で手に入りやすく、置いているバーも多いので試しやすいのもポイントです。
ウイスキー初心者向けではありませんが、アイラモルトに興味のある人やより深くウイスキーを楽しみたい人はぜひ試してみたい定番ボトルです。
マイルドな口当たりが好みなら「トリプルウッド」
ピート香が抑えめでよりマイルドで甘い味わいのウイスキーを好むなら「ラフロイグ トリプルウッド」を選びましょう。ラフロイグらしさを残しながらもより幅広い人が楽しめるボトルです。
国内正規品は終売しているものの、並行輸入品で価格もそこまで高騰しておらず十分手の届く範囲です。
ラフロイグの飲み方
ラフロイグのボトルを手に入れたら、おすすめの飲み方は以下の3つです。それぞれの特徴やおすすめのポイント、シチュエーションなどご紹介します。
スモーキーさを堪能できるのはストレート
ウイスキーに氷を入れたり水で割ったりせずそのまま味わう飲み方が「ストレート」です。ラフロイグの個性的なスモーキーさや磯っぽさをダイレクトに楽しむには最適です。
特にシングルモルトウイスキーはストレートで楽しむのに向いています。蒸留所やその土地の個性を反映しているので、シングルモルトの特性をよりはっきりと堪能できるからです。
別で飲み水「チェイサー」をそばに置いておいて、ウイスキー→チェイサーの順で飲めばアルコールの負担を軽減できますし、口の中をリフレッシュして濃厚なラフロイグでも飲み疲れせずに楽しめます。
食事中に料理に合わせるよりは食後酒として楽しんだり、ウイスキーだけでじっくり楽しむのに向いている飲み方です。
ラフロイグの魅力を存分に味わいたいならストレートで楽しんでみてください。
ほのかな甘みを楽しむならトワイスアップ
「トワイスアップ」とはウイスキーと常温の水を1:1で混ぜる飲み方のこと。通常の水割りのように氷を入れたり、水の割合が多くないのがポイントです。
ウイスキーと同量の水で割ることで、より香りが立ち個性が分かりやすくなります。ラフロイグの場合はバーボン樽由来のバニラの香りが強調され、ほのかな甘みを楽しむことができます。
トワイスアップもシングルモルトにおすすめの飲み方のひとつです。ウイスキー本来の味と香りを壊さず、なおかつ個性を引き立てるので、ボトルの特徴をじっくり楽しめます。最初はストレートで始めて徐々に加水するのも変化を楽しめるのでおすすめ。
ウイスキー単体で楽しむのも良いですが、加水されている分おつまみとも合わせやすいです。ラフロイグは磯の香りが強いので、特に牡蠣やオイルサーディンなどの海産物がよく合います。
ストレートではきつすぎるという方のシングルモルト入門としてもおすすめ。ラフロイグの香りが引き立つおすすめの飲み方のひとつです。
ヨード香の爽快感を感じるのはハイボール
ラフロイグを料理と合わせたり、より手軽に楽しむのにおすすめなのが、炭酸水で割る「ハイボール」です。
ラフロイグ特有の癖は軽減される分磯の香りの爽やかさが引き立ち、炭酸水の爽快感も相まってとても飲みやすいです。角瓶などで作るハイボールとは一味違い、一度ラフロイグで作るハイボールを味わうと他のウイスキーでは物足りなさを感じることも。
先述のように海の食べ物とよく合うので、牡蠣や青魚など多少癖のある海鮮を使った料理との相性は抜群です。またラフロイグ特有の癖が軽減されている分色々な料理に合わせやすいので、ちょっと贅沢な食中酒としても楽しめます。
ラフロイグのスモーキーさを爽快に楽しむならぜひハイボールを試してみてください。
ラフロイグと同じアイラ島のシングルモルト5選
以上ラフロイグに関してご紹介してきましたが、本項では同じアイラ島で造られる代表的なシングルモルトの銘柄を5つご紹介します。
アイラモルト入門に最適なものからラフロイグ以上に強烈なウイスキー、ウイスキー初心者にもおすすめできる飲みやすいものまで、同じアイラモルトでも幅広いです。早速見てみましょう。
アイラモルトとは
「アイラモルト」はその名の通りアイラ島にある蒸留所で造られるシングルモルトウイスキーのこと。
アイラ島はスコットランド西岸沖にあるヘブリディーズ諸島の最南端に位置する島。スペイ川流域の「スペイサイドモルト」と並びスコットランドでも有数のウイスキーの生産地で、世界中に熱烈なファン・マニアが多い生産地でもあります。
「ピート・ヨード香」「煙臭・燻製香」「磯っぽさ・海の香り」などアイラモルトらしい共通点はありますが、各蒸留所ごとに味わいに特徴があります。次から具体的にご紹介します。
1位:アイラモルト入門に最適な中間地点「アイラの女王」【ボウモア 12年】
1779年に操業を開始したアイラ島最古の蒸留所が「ボウモア」で、12年は現行のスタンダードボトル。
アイラ島は北部の蒸留所ほどライトな味わい、南部ほどピートの効いたヘヴィな味わいの傾向がありますが、ボウモア蒸留所は島の中間に位置します。アイラ特有のピート香の強さ、スモーキーさもアイラモルトの中で丁度中間あたり、というのが面白い所です。
ピート香や磯の香りは強すぎず穏やか。チョコレートやヘザーハニーを彷彿とさせる甘い味わいと香りや、フルーティーな香りとのバランスが良く、エレガントな味わいで「アイラの女王」と呼ばれます。
スーパーなどでも手に入りやすく値段も手頃。アイラモルトらしいスモーキーさはしっかりありながら、味・価格共にとっつきやすいので、アイラモルト入門としてもおすすめ。
種類 | アイラ・シングルモルト |
香り | 穏やかなピート・ヨード香 チョコレートやヘザーハニーのような甘い香り フルーティー |
味わい | 程よいスモーキーさ 甘さがありエレガントなミディアムボディ |
アルコール度数 | 40% |
価格 | 3,972円 |
おすすめな人 | アイラモルト最初の1本を探している人 手頃な価格のシングルモルトを探している人 |
2位:ヘヴィーかつなめらかで完成度が高い「アイラの巨人」【ラガヴーリン 16年】
アイラ島南部に位置する「ラガヴーリン蒸留所」のスタンダードボトルでスタンダード品としては長い16年熟成が特徴。
南部の蒸留所らしいヘヴィーでパンチのあるスモーキーさと塩味を持ちます。しかし熟成年数の長さから来るトロリとした舌触りと濃厚なまろやかさ、上品さを兼ね備えている上質な逸品。
完成度の高さから「最も美味しいウイスキーのひとつ」という評価を得るほどで、「アイラの巨人」と呼ばれ人気が高い銘柄です。
アイラモルトらしい癖はしっかりあるので初心者向けではないですが、ウイスキーにハマって「癖のある銘柄もいけるかも・試してみたい」と思ったらぜひ飲んでみてほしいボトルです。
種類 | アイラ・シングルモルト |
香り | 強いスモーキーさ・ピート香 甘い香り |
味わい | ドライなスモーキーさとまろやかな甘さのバランス 海を彷彿させる風味と塩味 |
アルコール度数 | 43% |
価格 | 6,139円 |
おすすめな人 | フルボディのパンチのあるアイラモルトを飲みたい人 最高峰のウイスキーを味わってみたい人 |
3位:どんな飲み方にも合う優等生【カリラ 12年】
多くのブレンデッドウイスキーの原酒として使われており、アイラ島で最も生産量が多い「カリラ蒸留所」のシングルモルト。
ヨード香、スモーキーさが強くスパイシーさもあるドライな辛口ですが、同時にライトな口当たりで飲みやすく、飽きずに楽しめるバランスのいい一本。
ストレートやオン・ザ・ロックではアイラらしいスモーキーさを存分に堪能でき、ハイボールにすれば爽やかさが際立ち食事にも合わせやすい。幅広い飲み方に合う優等生的ボトルです。
アイラモルト特有のスモーキーさはボウモアより強く、ラフロイグほどきつくない辺りなので、2大定番が合わなかった方は試してみる価値ありです。
種類 | アイラ・シングルモルト |
香り | 強いスモーキーさ・ピート香 |
味わい | ドライでスパイシーな辛口 ライトな口当たりで飲みやすい |
アルコール度数 | 43% |
価格 | 4,899円 |
おすすめな人 | ストレートからハイボールまで幅広く楽しみたい人 ボウモア・ラフロイグの2大定番が合わなかった人 |
4位:強烈なスモーキーさが癖になる【アードベッグ 10年】
アイラ島で最もスモーキー、ピーティなウイスキーを造る「アードベッグ蒸留所」のスタンダードボトル。ヨード香の強さを表すフェノール値は全モルトの中でも高い55~65ppmを誇ります。
「正露丸」「消毒液」に例えられる強烈なスモーキーさと癖の強さの中に、フルーツのような甘くフレッシュな余韻があり、一度ハマると病みつきになる味です。愛好家が多い人気の高いウイスキーで、毎年発売される限定ボトルは即完売します。
シングルモルトとしての人気の高さに加え、「ザ・スコッチ」と呼ばれるブレンデッドウイスキー「バランタイン17年」を構成する主要モルト「魔法の7柱」のひとつで、酒質の良さ、蒸留所の実力が伺えます。
他のアイラモルトを飲んでみて美味しいと感じるなら、バーでショットからでもぜひ試してみたい「これぞアイラの真骨頂」なボトルです。
種類 | アイラ・シングルモルト |
香り | 超強力な煙臭・ヨード香 |
味わい | 超強力なスモーキーさ フルーツのような甘くフレッシュな余韻 |
アルコール度数 | 46% |
価格 | 4,719円 |
おすすめな人 | 癖のあるアイラモルトを堪能したい人 |
5位:初心者にもおすすめな飲みやすいノンピートタイプ【ブナハーブン 12年】
アイラ島で最北に位置する「ブナハーブン蒸留所」のシングルモルト、12年熟成ボトルです。
ピート香の軽い仕込み水を使い、さらにモルトを乾燥する際にほとんどピートを使わないことで、アイラモルトながらピート香や薬品臭さがとても少ないノンピートタイプなのが最大の特徴。フェノール値も2~5ppmととても低いです。
優しい香りとやわらかい味わいで飲みやすく、アメリカで非常に人気が高い銘柄です。シングルモルト初心者にもおすすめできるボトル。
しかしアイラ島の土壌が成せる技か、ノンピートでもピート香や海藻の匂いはちゃんとあるのが面白いポイント。スモーキーなウイスキーは苦手な方や、徐々にアイラモルトに慣れたい方におすすめです。
種類 | アイラ・シングルモルト |
香り | ナッツやドライフルーツのような香り 優しくかすかなピート香 |
味わい | ライトボディで飲みやすい アイラらしい海の風味も感じられる |
アルコール度数 | 47% |
価格 | 5,079円 |
おすすめな人 | 癖のあるウイスキーは苦手な人 徐々にアイラモルトに慣れたい人 |
ラフロイグ・セレクトカスクで個性あふれるヨード香を堪能しよう
本記事ではラフロイグ蒸留所の特徴に始まり、ラフロイグの現行おすすめ銘柄や飲み方、さらにおすすめのアイラモルトまでご紹介しました。
ウイスキーの中でも上級者向けと言われるアイラモルト、その中でも癖の強い部類に入るラフロイグですが、飲みやすい味わいのボトルもあり、ハイボールなどの親しみやすい飲み方でも合うことがご理解いただけたと思います。
まずは手頃かつ飲みやすい「セレクトカスク」でラフロイグの個性に触れてみましょう。慣れてきたらより癖の強いボトルや他の銘柄を試してみると、どんどんウイスキーが面白くなります。
スモーキーなアイラモルトをストレートでちびちび飲む楽しさにはハマると抜け出せない魅力がありますよ。奥深いウイスキーの世界の一端にぜひ触れてみてください。