ワインのエチケットとは?初心者でも分かるラベルを読む3つのコツ

「ワインのエチケットって聞いたことがあるけど、礼儀や作法のこと?」
「エチケットのことは知ってるけど、難しくてよくわからない…」

エチケットというと、日本では礼儀作法のことを指すことが多いですよね。私は「ワインのエチケット」と聞いたら、正しい飲み方や注ぎ方のマナーのことだと思っていました。

ワインのエチケットとは、ワインのボトルに貼り付けられているラベルのこと。エチケットの見方が分かれば、ラベルを見ただけでどんなワインか分かります。ラベルだけでスマートにワインが選べたら素敵ですよね。
今回は、ワインのエチケットについて初心者にも分かりやすく解説していきます。 本記事を最後まで読めば、ワイン上級者と言える知識が得られるでしょう。

ワインの「エチケット」とは?


エチケットとはボトルに貼られているラベルのこと。ワインに関する情報が記載されており、エチケットを確認することでワインの銘柄やアルコール度数などさまざまなことがわかります。

エチケットを見ることで確認できる内容は、以下の8項目です。

  • 地区名
  • ワインの名称
  • ブドウ品種
  • ブドウの収穫年
  • 原産地統制呼称
  • 瓶詰め元
  • 国名
  • アルコール度数
  • 容量
  • (産地によって表示が異なるため、記載がないものもあります。)

エチケットは「貼り紙」や「立て札」「荷札」を表すフランス語です。

フランス革命以前の宮廷では、客人に作法が書かれた立て札(エチケット)を見せていたことがありました。礼儀作法が書かれた立札をエチケットと呼んでいた ので、現在では「立て札」というもともとの意味よりも「礼儀作法」としての意味が伝わっています。

ワインをエチケットで選べたら上級者!


エチケットを見るだけでワインを選ぶことができるようになったら、ワイン上級者です!

エチケットはワインが作られた国の言葉で記載されていて、初心者は読み取りが難しいかもしれません。しかし法則がある程度決まっているので、覚えておくと徐々に読み取れるようになれます。今回はちょっと複雑で難しいエチケットを、上手に読み取れるようコツを紹介します。読み方のコツを掴んで、かっこよくラベルを読み取れるようになりましょう!

エチケットを見てワインを選ぶ方法


エチケットを見てワインを選ぶときは、以下の3つをチェックしましょう。

  • 銘柄をチェック
  • 格付けの表示をチェック
  • 収穫年をチェック

次に、それぞれチェックの仕方を解説していきます。

銘柄をチェック


まずはワインの銘柄をチェックしてみましょう。
エチケットを見ると、大体一番大きく書かれているので意外と分かりやすい項目です。

フランスボルドー地方ではワインの生産者のことを「シャトー○○」と呼びます。ワインの銘柄に「シャトー」と記載があれば、フランスボルドーのワインということが分かるのです。
同じように、銘柄の前に「ドメーヌ」と記載があればフランスブルゴーニュ地方のワインということが分かります。

「ボージョレ」や「シャブリ」と書いてあるものは産地を示している銘柄です。
銘柄に「カベルネ・ソーヴィニョン」や「シャルドネ」と書かれているものは、ぶどうの品種を示しています。

ワインの銘柄にはある程度の法則があり、「産地」「ぶどうの品種」「生産者」の名前が含まれていることが多いです。銘柄を見るだけで一度にたくさんの情報を得ることができるので、まずは銘柄をチェックしてみてください。

格付けの表示をチェック


続いて格付けの表示をチェックしてみましょう。
フランスやイタリアなど、ワイン造りで長い歴史がある国はそれぞれの国で格付けがあります。
フランスワインなら「原産地統制呼称(AOC)」という格付けです。エチケットに「Appellation d’Origine Controlee」と表記され、「d’Origine」の部分に産地が表記されます。

イタリアには「DOCG」や「DOP」という格付けがあり、エチケットやボトルネックのシールに記載されています。

「ぶどうの品種」や「醸造法」など、細かく法律で定められているヨーロッパワインの格付け。格付けの記載があるワインは、銘柄を確認するのと同じように分かることが非常に多いので覚えておきましょう。

収穫年をチェック


収穫年もエチケットを読み取る上でチェックしたい項目です。

実は収穫年は毎年記載があるわけではなく、ぶどうの品質が良かった年にのみ記載されます。エチケットに収穫年の記載がない場合は、複数の年のワインをブレンドしたワインです。

フランスやイタリアなどヨーロッパは収穫時期の気候の差が激しく、質のいいぶどうが毎年確実に収穫できません。そのためぶどうの品質が良かった年のみ収穫年が記載されるようになりました。

収穫年の記載は「ヴィンテージ」と呼ばれ、その年に取れたぶどうだけしか使っていないことが分かります。収穫年の記載がある「ヴィンテージワイン」は、記載のない「ノン・ヴィンテージ」と比べると価格も高いのが特徴的です。

  • ヴィンテージ:収穫年の記載がある
  • ノン・ヴィンテージ:収穫年の記載がないブレンドワイン

「ノン・ヴィンテージ」も十分美味しく味わえるので、普段飲みに買うならヴィンテージにこだわる必要はありません。収穫年の記載がある「ヴィンテージワイン」はお祝いや記念日などに使用しやすくなるので、覚えておくと役に立ちますよ。

では実際にワインのエチケットを見て、読み取る練習をしていきましょう。
今回はワイン初心者でも読み取りやすいアメリカやチリなどのエチケットと、上級者向けフランスのエチケットを紹介します。

【初心者でもわかりやすい!】アメリカのワインのエチケットの読み取り方

アメリカワインは消費者が選びやすいように、ぶどうの品種を明記した「ヴァラエタルワイン」が主流。ぶどうの種類が書かれていれば味が想像できるので、選びやすいですよね。

「カベルネ・ソーヴィニョン」や「ピノ・ノワール」のように品種が表示されているワインは、記載のある品種が75%以上使われています。例に挙げたアメリカワインのエチケットには「MERLOT(メルロー)」というぶどうの品種が記載されています。「メルロー」は世界中で作られており、渋みはありますが、まろやかな味わいが特徴です。
アメリカワインの場合、「ジンファンデル」などがアメリカワインを代表する黒ぶどうの品種。力強くアメリカワインらしい味わいが特徴的です。アメリカワインを飲むときはぜひチェックしてみてください。

アメリカのワイン法は、ヨーロッパのワインのように格付けがありません。しかしアメリカ政府が承認したAVA(アメリカぶどう栽培地域)の制度があります。
AVAを名乗るためには、指定された地域で85%以上生産されたぶどうを使用するのが条件です。収穫年を記載する際はその年に収穫されたぶどうを95%以上を使用することが定められています。

産地を記載するのは、州によっては独自ルールを設けており、オレゴン州は95%、カリフォルニア州は100%州産のぶどうを使用しなければ産地表示ができません
例に挙げたアメリカワインのエチケットには「Napa Valley」と書かれており、ナパ・ヴァレーは「カリフォルニア州」なので、カリフォルニア産のぶどうを100%使っていることが分かります。

品種や産地、収穫年の記載がないものは「ジェネリックワイン」と呼ばれ、日常用として親しまれているワインです。

以上のことから、アメリカワインのエチケットを読み取るときは以下を確認しましょう。

  • ぶどうの品種
  • 産地と収穫年
  • AVA(アメリカぶどう栽培地域)表示の有無
  • 品種・産地・収穫年の記載がないものはジェネリックワイン(日常用ワイン)

上記の4点を確認することで、どんなワインかある程度把握できます。
ヨーロッパと比較すると歴史が新しいアメリカのワイン。ヨーロッパほどワイン法が複雑ではないので、エチケットが読みやすく練習にぴったりです。

【初心者でもわかりやすい!】チリのワインのエチケットの読み取り方


チリワインのワイン法も、ヨーロッパのワイン法のような厳格な決まりはありません。しかし、産地やぶどうの品種などをエチケットに記載するために「原産地呼称(DO)」が定められています。「D.O.〇〇(産地名)」と記載のあるものが原産地呼称ワインです。チリワインのDOは「ぶどうの品種」「生産地」「収穫年」がそれぞれ75%以上でエチケットに記載できます。

例に挙げたワインには「D.O.Colchagua Valley(コルチャグア・ヴァレー)」と書かれているので、原産地呼称ワインです。ぶどうの品種は「CABERNET SAUVIGNON(カベルネ・ソーヴィニョン)」、ヴィンテージは2016年ということが分かります。

また、2009年以降チリワインの生産者を中心に「VIGNO」プロジェクトが始まりました。主にマウレヴァレーで生産されるチリの伝統品種「カリニャン」というぶどうを使用し、フランスのAOCのように厳しい基準が設けられた原産地呼称です。
VIGNOの表示があるものは、見ただけでぶどうの品種と生産地が特定できます。

  • チリワインの原産地呼称は「DO」
  • 品種・産地・収穫年は75%以上使用しているものだけが表示できる
  • 「VIGNO」の記載があるワインはマウレヴァレー産でカリニャンという品種

以上の3点だけ覚えておけば、チリワインのエチケットの読み取りはある程度できるでしょう。

【上級者向け】ボルドーワインのエチケットの読み取り方


ボルドーワインのエチケットを読み取るときは、まず銘柄を確認しましょう。

ボルドーワインでは「生産者名」がワイン名になります。ボルドーの生産者は「シャトー」と呼ばれるので、「Chateau(シャトー)○○」と記載があるものがワイン名です。

ボルドーのエチケットには格付けや品種が書かれていません。というのもボルドーワインは法律で使用できるぶどうの品種などが定められており、周知の事実なのでわざわざ記載する必要がないんです。ボルドーワインは複数のブドウ品種をブレンドして製造されます。白やロゼも作られていますが、有名なボルドーワインはほとんど赤ワインです。

「Chateau(シャトー)○○」と記載のあるボルドーワインは、ほぼ全て原産地呼称(AOC)の一級品。AOCの格付け意外にシャトーごとの格付けもあります。ボルドーワインは力強く重厚感のある「濃厚な味わい」のワインが多く、牛や羊などの赤身肉と相性が良いのが特徴的です。

難しいと思われがちですが、銘柄からボルドーのワインと読み取れただけで以下の4つのことがすでに分かります。

  • 複数の品種をブレンドして作られている
  • ボルドーワインは赤ワインがほとんど
  • ほぼすべてのワインが原産地統制呼称(AOC)のワイン
  • 「濃厚な味わい」のワインが多く、赤身肉と相性が良い

ボルドーワインのエチケットについては、上記の4つだけでも覚えておくと便利です。

例に挙げたワインは「Chateau Croque Michotte(シャトー・クロック・ミショット)」という生産者のボルドーワインで、ぶどうの品種は複数、ヴィンテージは1996年であると読み取れます。

【上級者向け】ブルゴーニュワインのエチケットの読み取り方

ブルゴーニュワインもボルドーワインと同じように、銘柄からたくさんのことが読み取れます。

ボルドーワインのシャトーと同じように「Domaine〇〇(ドメーヌ)」と生産者名が記載されます。また、ブルゴーニュワインは、ボルドーと同じく品種は記載がないのですが、基本的に単一品種しか使われません。

  • 赤ワインならピノ・ノワール
  • 白ワインならシャルドネ

ブルゴーニュワインの品種は、上記2つのぶどうが使われていることを覚えておきましょう。ボルドーとブルゴーニュワインは高品質なワインの二大産地として知られていました。しかしブルゴーニュ地方は寒く、ボルドー以上のワインを作れなかったため、ブルゴーニュ地方の特性を生かした単一品種のワイン造りに辿り着いたのです。

例に挙げたエチケットの銘柄から「DOMAINE DE COURCEL(ドメーヌ・ド・クールセル)」という生産者によって作られたブルゴーニュワインであると読み取れます。
APPELLATION POMMARD PREMIER CRU CONTROLEEと書かれているので、POMMARD(ポマール)という地域で作られた原産地呼称ワインで、赤ワインなのでぶどうの品種はピノ・ノワールです。

単一品種のワインは土地の環境を受けた味わいのワインが生まれるため、畑ごとに階級が定められています。

  • 特級畑「Grand Cru(グラン・クリュ)」
  • 一級畑「Premier Cru(プルミエ・クリュ)」
  • 村名
  • 地域名

村名や地域名を覚えるのは大変ですが、「グラン・クリュ」「プルミエ・クリュ」の記載があれば格付けが高いということが分かります。例に挙げたエチケットには「プルミエ・クリュ」と記載されているので、2番目に階級が高いワインです。

エチケットの読み方を知ることでワインにも詳しくなれる!


知れば知るほど奥が深い、ワインのエチケット。作られた国によって書かれている言語も違うし、最初は難しく感じますが、コツを覚えればある程度読み取ることができるようになります。

  • 銘柄・格付け・収穫年をチェック
  • 収穫年が書かれたものはヴィンテージ
  • 「シャトー〇〇」はボルドーワインで濃厚な味わい
  • 「ドメーヌ〇〇」はブルゴーニュワインで、特級畑は「グランクリュ」

フランスワインの格付けはAOCイタリアワインの格付けはDOCGかDOPと記載されています。アメリカワインやチリワインは、ヨーロッパのワインと比較するとエチケットが読み取りやすく練習にぴったりです。

本記事を読んでワインの理解を深め、ワインの魅力を感じてくださいね。