ワインのラベルを読み解こう!有名産地4つのワインを実際に見ながら解説

「ラベルにはワインのなにが書いてあるの?」
「ワインのラベルをみてワインを選べるようになりたい」

ワインを選ぶときにラベルをみてどういったワインなのかわかるとカッコイイですよね。
今まではワインを購入するときには、見た目で判断していたため、飲んでみてはじめてワインの味がわかったという人も多いと思います。

本記事を読むことでラベルに書いてある情報をもとにワインのことを選ぶことできます。ラベルに書いてある基礎情報を理解して、ワイン選びも楽しみましょう。

ラベルでワインを選べるようになるとかっこいい!


後輩や好きな女の子と一緒にワインを選ぶとき、ラベルをみてワインを説明することができるとカッコイイですよね。ワインのラベルを読めるようになるのは難しいイメージがありますが、理解することで今まで以上に美味しいワインに出会うチャンスにもなります。

覚えることで、「カッコイイ」と「美味しいワインに出会える」2つのメリットがありますので、ぜひ覚えてください。

ワインのラベルの4つの基礎知識


まずは以下に記載する基本的な4つの知識を紹介します。

  • ラベルは「エチケット」と呼ばれる
  • 大きく書かれているのは「銘柄」
  • 産地によって表示が微妙に違う
  • 収穫年は絶対に書かれているわけではない

1つずつ解説していきます。

ラベルは「エチケット」と呼ばれる


ワインのラベルは、英語では「ラベル」フランス語では「エチケット」と呼ばれます。

日本でエチケットというと「礼儀作法」や「マナー」という意味合いをイメージしてしまいますが、フランスでは歴史的な風習から「貼り付ける札」という意味を持っているためラベルも「エチケット」と呼ばれるようになりました。

ワイン仲間と話をしていて、「エチケット」といわれても戸惑わないよう覚えておきましょう。

大きく書かれているのは「銘柄」


ラベルに一番大きく書かれているのは銘柄です。

銘柄にワイナリーの名称が含まれている場合や土地名、ぶどうの品種が商品名になっているときには、ぶどうの品種が書かれていることもあります。

銘柄を見ることで上記のように様々な情報を得ることができます。

産地によって表示が微妙に違う


ラベルを読むのが難しいのは、言語が違うのもありますが、記載されている内容が微妙に違うからです。

一般的に書かれている内容としては以下の通りです。

  • 地区名
  • ワインの名称
  • ブドウ品種
  • ブドウの収穫年
  • 原産地統制呼称
  • 瓶詰め元
  • 国名
  • アルコール度数
  • 容量

上記すべてが書かれているわけではありませんが、大体上記のようなことがラベルから読み取れます。

原産地統制呼称(AOC)は、フランスで法律に基づきワインの産地を示すものです。使用するぶどうや醸造法などが法律で定められており、基準を満たしたものだけが名乗ることができます。

規定を満たしたものはアペラシオン表記「Appellation d’Origine Controlee」があり「d’Origine」の部分に産地名が記載されます。

具体的には、「Bordeaux(ボルドー)」といった地方名、「Médoc(メドック)」のような地区名、「Margaux(マルゴー)」などの村名を読み取ることができます。

ただし、記載される地区名や村名など種類が膨大にあり最初から読み取ることは非常に難しいため、読み取るコツを覚えてきたら原産地統制呼称もチェックしてみてください。

収穫年は絶対に書かれているわけではない


複数の年に採れたぶどうを使用している造られるワインには、収穫年(ヴィンテージ)は書かれません。

ぶどうの品質がよかった年にだけ収穫年は記載されています。そのため、ラベルに収穫年が書かれていれば、美味しいぶどうが採れた年かどうかを判断をすることが可能です。

しかし、収穫年が記載されているものは、「味に嘘が付けない」ため同じ銘柄でも味わいが違い、評価も分かれます。収穫年が書いてあるワインは日常的に飲むデイリーワインというより、特別な時にスペシャルな1本という認識で覚えておきましょう。

ぶどう栽培は自然の影響を受けやすいため、複数年のぶどうをブレンドしてワインを造った歴史があります。味の品質を保つために複数年のぶどうをブレンドしているので、収穫年が記載されていなくても美味しいワインを選ぶことができます。価格で見ても収穫年が記載されているものより安いものが多いです。

【有名ワイン産地】フランスブルゴーニュ地方のラベルの読み方


ブルゴーニュワインでは、格付けがワイン名になっています。まずはブルゴーニュの格付けについて紹介します。

ブルゴーニュの格付け


ブルゴーニュの原産地呼称は畑です。上から順に以下の通りです。

ブルゴーニュの原産地呼称

・特級畑「グラン・クリュ」
・一級畑「プルミエ・クリュ」
・村名
・地域名

ブルゴーニュの地方のワインを選ぶときグラン・クリュ、プルミエ・クリュなどの記載があれば、格付けが高いことが分かります。

「DRC ロマネコンティ2010」のラベルを読んでみよう


上記画像のワインラベルは、「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ DRC ロマネコンティ2010」です。大きな文字で書かれている「ROMANEE-CONTI」はワイン名でもあり、ぶどう畑でもあるロマネ・コンティを表しています。

緑色の文字で書かれている「APPELLATION ROMANEE-CONTI CONTROLEE」は、ロマネ・コンティで造られたワインという意味です。グラン・クリュで造られたワインにだけ、ラベルにぶどう畑の名前が記載されます。

ロマネコンティの畑が使えるのは、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティだけです。

一番下に書かれている「MIS EN BOUTEILLE AU DOMAINE」は、生産者自らが瓶詰めをしているという意味です。ブルゴーニュでは1つの畑を複数の生産者が持っている場合があります。

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティだけがロマネコンティのワイン醸造所です。

同じ畑で取れても生産者が瓶詰めを行うかどうかで味わいが変わります。ブルゴーニュでは、農家やドメーヌ(生産者)からぶどうや果汁、ワインを買い付けて熟成や瓶詰めを行い出荷する「ネゴシアン」という人もいるため区別することが可能です。

上記画像のワインラベルの表示をまとめると以下の通りです。

DRC ロマネコンティ2010 ラベル

・原産地名称…AOCロマネ・コンティ
・原産国名…フランス
・瓶詰め業者名…ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ
・アルコール度数…記載なし
・容量…記載なし
・収穫年…2010

【有名ワイン産地】フランスボルドー地方のラベルの読み方


ボルドーワインでは「生産者名」がワイン名になります。以下でまずはボルドーの格付けについて紹介します。 

ボルドー地方の格付け


ボルドー地方では生産者である「シャトー」ごとに格付けがされています。

上から順に以下の通りです。

ボルドー地方の格付け

・メドック地区…メドック地区の格付けは赤ワインのみ対象となる
第1級から第5級(Grand Cru Classe)
ブルジョワ級(Cru Bourgeois)
・グラーヴ地区…赤ワインと白ワインが対象となる
特選(Cru Classe)
・サン・テミリオン地区…生産者主導の格付けで10年ごとに見直しがされる
第一特別級A(Premier Grand Cru Classe 'A’)
第一特別級B(Premier Grand Cru Classe 'B’)
特別級(Grand Cru Classe)
特級(Grand Cru)
・ソーテルヌ地区の格付け…シャトー・ディケムだけが特別1級に該当する
特別1級(Premier Grand Cru Classe)
第1級と第2級(Cru Classe)
・ポムロール地区の格付け…公式な格付けはない

ボルドーワインの場合は、格付けが記載されている場合もあれば、地域名しか記載されていないことも多く、原産地統制呼称を見分けるのは非常に難しくなっています。

「2010年 シャトー・ラトゥール」のラベルを読んでみよう


上記画像のワインラベルは、「2010年 シャトー・ラトゥール」です。ボルドー地方の最高の出来を誇るヴィンテージワインです。

大きな文字で書かれている「CHATEAU LATOUR」はワイン名であるシャトー・ラトゥールです。CHATEAU LATOURの上に書かれている「GRAND VIN DE」は偉大なワインという意味でほとんどのボルドーワインに記載されています。

「PREMIER GRAND CRU CLASSE」は、メドック地区で一級を表しています。ボルドーのワインでも格付けが表記されている場合があります。

「PAUILLAC」はシャトー・ラトゥールの所在地はポイヤック村であることを表します。原産地呼称は「AOCポイヤック」となります。

上記画像のワインラベルの場合は以下の通りです。

2010年 シャトー・ラトゥール ラベル

・原産地名称…AOCポイヤック
・原産国名…フランス
・瓶詰め業者名…記載なし
・容量…記載なし
・アルコール度数…記載なし
・収穫年…2010

【有名ワイン産地】イタリアのラベルの読み方


まずはイタリアワインのラベルに記載される原産地統制呼称について見ていきましょう。

イタリアの原産地統制呼称


格付けの高いものから順に以下の通りです。

イタリアの原産地統制呼称

・DOCG(新ワイン法ではDOP)統制保証付原産地呼称ワイン…申請の前に5年間はDOCのカテゴリに属していなければならない一番厳格な格付けです。農林省、商工会議所の化学・物理検査を受け、ボトルには政府が認可したことを証明シールが貼られています。

・DOC(新ワイン法ではDOP)統制原産地呼称ワイン…瓶詰めの前に、商工会議所によって定められた審査や化学検査、物理検査が行われ必要条件を満たさなければならない。検査内容は、「生産地」「栽培方法」「最大収穫量」「ブドウ品種」「最低アルコール度数」「熟成方法」などがあります。

・IGT(新ワイン法ではIGP)地域特性表示ワイン…地域のブドウを最低85%使うことが義務付けられていて、ラベルには使用されている品種と年が記載されています。

・VdT(新ワイン法ではVINO)テーブルワイン…ぶどう品種や生産地の表記の義務がなく、規定に縛られることのなく生産できるのが特徴です。DOCGやDOCの申請をしていないワインの多くがVdTと呼ばれます。

イタリアワインで一番厳正な規定が設けられている格付けのDOCGや、DOCにだけ、販売しているワインにまつわる話や製造会社の特徴や歴史を記載してもOKです。

「サッシカイア 2009 赤 イタリアワイン ボルゲリ」のラベルを読んでみよう


上記画像のワインラベルは、「サッシカイア 2009 赤 イタリアワイン ボルゲリ」です。まず目に入ってくる「SASSICAIA」はワインの名称です。その下にある「BOLGHERI SASSICAIA」は地名を表します。

他に書かれているラベルに書かれている情報をまとめると以下の通りです。

サッシカイア 2009 赤 イタリアワイン ボルゲリ ラベル

・原産地統制呼称「BOLGHERI SASSICAIA」の下に「Denominazione di Origine Controllata」と記載があるので、一定の審査が定められているDOCであることがわかります。
・瓶詰め業者名「Tenuta San Guido」は業者名、「Castagneto Carducci」はTenuta San Guidoの所在地を指します。
・原産国名(輸出用の場合)…イタリア
・アルコール度数…14%
・容量…750ml

その他にイタリアのワインラベルに認められている記載事項もあります。上記ラベルに見られるように収穫年を表す「2009」や以下の内容を記載している場合もあります。

  • ワインの色味
  • 製造会社や瓶詰め会社の商標
  • ワインのタイプ(辛口、甘口等)

イタリアのワインを選ぶ際に参考にしてください。

【有名ワイン産地】チリのラベルの読み方


チリワインのラベルの特徴は、「ぶどうの品種」が書かれています。


上記のワインは「メルロー 20バレル リミテッド エディション」です。
ラベルを見てみると、商品名の「20 BARRELS limited EDITION」がわかります。その下には、ぶどうの品種である「MERLOT」と書かれていますので、メルローを使用して造られたワインです。

しかし、残りの情報はブランド名である「Cono Sur」と地域名の「PERALILLO ESTATE」しか表記されていません。ブランド名であるコノスルがわかっても、ペラリージョという町が原産地呼称である「DO」かどうか判断することは難しいです。

最初に紹介したフランスやイタリアなどのワインラベルには、ぶどうの品種の記載はありません。しかし、チリやアメリカ、日本などのワイン造りの歴史の浅い「新世界」と呼ばれる国が造ったワインの大半には、主体となるぶどう品種(75%以上使用)をラベルに明記しています。

チリワインのラベルには、ぶどう品種とDOの記載がありますが、地域の名前で判断することが難しいことを覚えておきましょう。

ラベルを見てかっこよくワインを選ぼう


今回は違う言葉で書かれているので、難しいと思われているラベルの読み方について紹介しましたが、いかがでしょうか?

ワインのラベルは、いくつかのポイントを押さえることで好みのワインを見つけることができます。かっこよくワインを選ぶため、ラベルのことを理解するのに、本記事がお役に立てれば幸いです。