ピノノワールの最高峰「カレラワイン」とは?3つの魅力と歴史を解説

「カレラワインというものがあるのは知っているけれど、どんなワインなのか分からない」
「カレラワインを飲んでみたいけれど、種類がたくさんあって選びきれない」



カレラのワインを飲みたいと思っても、知識がなければ選ぶのは難しいですし、決して安価ではないため「気軽にお試し」という訳にもいかないですよね。


今回は、カレラワインの歴史や特徴、美味しい飲み方を詳しく解説し、さらにおすすめのカレラワインを厳選してご紹介します。最後まで読んでいただけば、カレラワインの魅力を知り、好みや予算に合うものを選べるようになります。ぜひ参考にしてください。

目次

「カレラ」のワインとは?カレラが持つ3つの魅力


カレラのワインは、歴史を知ることでより一層楽しんで飲むことができます。「地球上で最も魅力的なピノ・ノワールのスペシャリスト」とまで言われるようになった歴史と、魅力をたっぷりご紹介していきます。


カレラ(Calera)はカリフォルニアを代表するワイナリーです。「カレラ」とは、スペイン語で「石灰岩でできた焼窯」を意味します。
オーナーはジョシュ・ジェンセン氏。留学中に出会ったフランスのブルゴーニュワインに影響を受け、ワイン作りについて多くを学びました。そして、ぶどうになるべく手を加えずに行う、ブルゴーニュの自然なワイン造りの魅力に取り付かれ、「カリフォルニアで最高のピノ・ノワールを造ろう!」と一念発起したことから、カレラを設立します。設立は1970年代のことで、まずは畑探しから長い道のりが始まりました。


カレラの歩みと3つの魅力について、詳しくみていきましょう。

魅力その1.カリフォルニアの「ピノ・ノワール」のパイオニア


当初は「カリフォルニアでピノ・ノワールの栽培は不可能」と笑われるほど困難なことだったにもかかわらず、カレラワインは今や「新世界のピノ・ノワール」のパイオニアといわれるほどになりました。


カリフォルニアはワイン造りの歴史が浅い、「新世界」に属しています。フランス、イタリア、スペイン、ドイツなど、古くからワインを作り続けてきた歴史をもつ国々と対比して、「新世界」という呼び名ができました。歴史は浅いものの、フルーツ感が強くしっかりとした味わいのものが多い「新世界」のワインは、徐々に世界中で注目され始め、また比較的安く手に入ることから人気も高まってきています。


カレラワインの「ピノ・ノワール」は良く熟したブラックチェリーのような香りが特徴です。タンニンと酸味のバランスがよく濃密な味で、引き締まった複雑味があります。ピノ・ノワールは不安定で繊細な種類のぶどうで、突然変異種も多く、同じ樹に異なった色の果実がなることもあります。栽培には冷涼な気候を好み、高温多湿の環境ではうまく育たないなど、栽培には技術や工夫を要します。


オーナーのジョシュは、ブルゴーニュでぶどうの栽培のノウハウを学び、「最高のピノ・ノワールは石灰岩が造る」 というブルゴーニュでの教えを元に、畑探しに2年という月日を費やします。いたるところで土壌テストを繰り返し、やっと見つけた場所は水も電気もない土地「マウント・ハーラン」でした。カリフォルニアで最も標高の高い場所で、海風をうけ冷涼な気候のマウント・ハーランは、霧の上なので日照りにも恵まれており、石灰を豊富に含んでいる土壌がピノ・ノワールの栽培に最適と思えたのです。


斜面の向きや風の流れ方、気候の微妙な変化など、時間をかけて全てを調べあげ、畑を区画に分けて、区画ごとの土地の個性に合わせてワインを作り分けていきます。1990年には品質や伝統の保有のために認められている原産地呼称「マウント・ハーラン・AVA」が認められるほど、品質の高いピノ・ノワールを作るまでに成長しました。


実は今でも、マウント・ハーランには電気や電話線さえもない場所も存在します。有機農法で量より質を重要視しており、人気なのにも関わらず流通量が少ないため「幻のワイン」とも呼ばれているのです。

魅力その2.世界に先駆け新しい技術を次々導入


ジョシュは、世界でもまだ取り入れられていなかったような新しい技術を、次々に導入していきました。そのうちの一つが「グラヴィティ・フロー」と呼ばれるもので、自然の重力にまかせて醸造する方法です。ポンプなどの機械を利用するのではなく、石切り場として使われていた急な傾斜や段差を使うことで、なるべく人の手を加えずに加工がされています。ぶどうに優しい醸造方法として認められ、フランスのボルドー地方でも後に同じ技術が取り入れられるようになりました。

魅力その3.設立からわずか30年「カリフォルニアのロマネ・コンティ」に


ワイン評論家であるロバート・パーカー氏は、2003年にカレラのワインを取り上げ、記事を書きます。タイトルはなんと「カリフォルニアのロマネ・コンティ」というものでした。
記事内で「カレラはニューワールドだけではなく、地球上で最も魅力的なピノ・ノワールのスペシャリストのひとつである。」と大絶賛されます。


1975年に発表されたカレラの記念すべき最初のワインは、別の畑から購入したジンファンデルという品種のぶどうで作られたものです。また、最初の2年間は近くのワイナリーに間借りして造るという時期が続きます。カレラの畑からとれたぶどうで初めてワインが作られたのは1978年、ピノ・ノワールで初めて作ったのは1981年でした。設立からわずか30年で、憧れのロマネコンティと肩を並べ、不動の人気を得るまでになったのです。

カレラのワインを選ぶポイント


カレラのワインの中からお気に入りの一本を見つけるために、知っておきたいポイントは以下の三つです。

・カレラのワインにある3つのグレードから選ぶ
畑ごとの特徴を知る
予算さえ合えばGO!

一つずつ詳しく解説していきます。

カレラのワインにある3つのグレードから選ぶ


カレラのワインは、三つのグレードに分類することができます。

セントラル・コースト・シリーズ 最も低価格
マウント・ハーラン・シリーズ 中間
単一畑シリーズ 高級

セントラル・コーストは年中温暖な空気を海からの風が冷やし、ぶどうを育てるのに適した気温が保たれています。ベリー系の味わいを感じやすく、力強い味わいが特徴です。
マウント・ハーランは日照りや海風による涼しさに恵まれ、地質も石灰質を含んだぶどう作りにぴったりの条件をもっています。甘み、酸味、渋みのバランスがいいのが特徴です。
単一畑シリーズは畑の名前がそのままワインの名前としてつけられており、最も高級です。味わいの好みや価格帯によって、まず大まかにグレードから選ぶことができます。

畑ごとの特徴を知る


カレラでは風や気候の変化などの違いによって土地が分けられ、区画ごとに畑に名前がつけられています。以下に畑ごとの特徴をご紹介します。

ライアン カレラで最も若い畑で、味わいの柔らかさや飲みやすさが特徴
ヴィオニエ エキゾチックさやフルーツ感たっぷりの風味を楽しむことができる
シャルドネ 石灰質を豊富に含む土地で、バターのコクやバニラのようなまろやかさが特徴
ミルズ 接ぎ木をせずに苗木のまま育てる方法がとられ、ビターな渋みを感じやすい
ド・ヴィリエ 最も新しく開墾された土地で、複雑な味わいや手頃な価格が人気
ジェンセン ジョシュが最初にロマネ・コンティの苗木を植えたと言われる。燻したような深い香りを生み出すのが特徴
リード ミネラルを多く含み、みずみずしさやスパイシーさが特徴
セレック 石灰質の土壌の割合が非常に高く、複雑で豊かな味わいを生み出す

それぞれの区画にあった栽培方法を実践し、区画ごとに個性豊かなワインを産出しているのです。

予算さえ合えばGO!


カレラのワインは、予算さえあえばすぐに買っておくべきです。というのも、カレラワインは「幻のワイン」といわれているほど、手に入りにくいことが多いのです。売っているところを見つけたら、幸運と思ってぜひ買ってみてください。

カレラのワイン「セントラル・コースト・シリーズ」おすすめ2選

最も手頃な価格で手に入る「セントラル・コースト・シリーズ」の中から、おすすめのワインを2つご紹介します。


ワインの味わいの深さは、「ボディ」で表されます。

フルボディ 渋みとコクがしっかりとある、熟成向き
ライトボディ 渋みが少なく軽いワイン
ミディアムボディ フルボディとライトボディの中間、程よい渋みとコクがある

ワインを選ぶときは、味わいもチェックしておくとより好みに近いものに出会えますので、合わせて参考にしてみてください。

華やかな香りとまろやかさが人気【カレラ ピノ・ノワール セントラルコースト】


イチゴやラズベリーなど赤い果実の香りと甘みが華やかな一本です。


ほどよく渋みもありますがきつすぎず、まろやかでビターな大人の味が魅力になっています。どっしりと深みのある味わいで、ステーキや焼き鳥などと合わせると肉の旨味が引き立って美味しく召し上がっていただけます。


華やかな香りと飲みやすいまろやかさを、美味しい肉料理と一緒に楽しめるワインです。

価格 4,748円
品種 ピノ・ノワール
味わい 辛口、フルボディ
生産 2015/2016年

 

爽やかな柑橘の香りを楽しむ【カレラ “ジョシュ・ジェンセン・セレクション” シャルドネ セントラルコースト】


柑橘系の酸味を含む爽やかな香りが特徴です。


香りが鼻から抜けていく様子を楽しむことができます。柑橘系のきつすぎない酸味がグレープフルーツのようです。果実の風味が強いので、単体で飲んでも満足していただけます。繊細でさっぱりした味と、酸味のきいた爽やかな後味が、白身魚をつかった料理や塩ベースで味付けした和食、サラダなどに良く合います。


柑橘の爽やかな香りと豊かなコクを楽しめるワインです。

価格 4,980円
品種 ロール、グルナッシュ・ブラン
味わい 辛口、ミディアムフルボディ
生産 2014/2016年

 

カレラのワイン「マウント・ハーラン・シリーズ」おすすめ2選

続いて、「マウント・ハーラン・シリーズ」から、2本ご紹介します。

トロピカル風の華やかな甘い香り【カレラ ヴィオニエ マウント・ハーラン】


華やかで甘い香りが長く続くのが特徴の一本です。


桃やお花のような、甘くまろやかな香りと味わいを楽しむことができます。パイナップルや梨のようなフルーティな後味で、飲んだ後も口のなかに果物の風味が長く残るのが特徴的です。香りが華やかで、単体で飲んでもフルーティさを存分に感じられます。一方で、ローストしたお肉やスモークサーモンなど、燻した深い香りの料理と合わせても美味しく楽しんでいただけます。


トロピカルな甘い香りとフルーツの味わいを楽しめるワインです。

価格 6,178円
品種 ヴィオニエ
味わい 辛口、ミディアムフルボディ
生産 2015年

 

深いコクとまろやかさを楽しめる【カレラ シャルドネ マウント・ハーラン】


香りの甘さとどっしりとした濃厚な味わいが特徴です。


バニラやカスタードを思わせる、まろやかで甘い香りが漂います。とても濃厚で重みがありますが、ほどよく酸味もきいているので飲みやすくなっています。シチューやクリームパスタなど、濃厚な味わいの料理と合わせると相性がよく美味しく召し上がっていただけます。


料理と合わせて楽しみたい濃厚でリッチなワインです。

価格 7,278円
品種 シャルドネ
味わい 辛口、フルボディ
生産 2015年

 

カレラのワイン「単一畑シリーズ」おすすめ3選

続いてカレラワインの中でも、最も希少で高価な「単一畑シリーズ」から、厳選して3種類をご紹介します。

カレラで最も人気の希少なワイン【カレラ ジェンセン ピノ・ノワール】


独特のスパイシーな香りが食欲をそそる、料理と一緒に楽しみたいワインです。


燻したような香りやスパイスの風味が特徴的です。ワイン自体も燻した香りが強いので、ローストしたお肉やウォッシュ系のチーズなど、鼻に抜ける香ばしさを持つ料理と相性がよく、美味しく召し上がっていただけます。


香りと味わいの豊かさを楽しむことができる一本です。

価格 21,380円
品種 ピノ・ノワール
味わい 辛口、フルボディ
生産 2016年

 

どっしりと濃厚で豊かな味わい【カレラ セレック ピノ・ノワール】


ベリー系のフルーツやシロップを思わせる、コクのある甘みが特徴です。


ベリーやさくらんぼのような香りがありますが、酸味は強すぎずまろやかな味わいで、非常に濃厚です。ワイン自体が濃厚なので、ステーキやお肉のワイン煮込みなど、お肉の味わいを感じやすい料理や濃厚な味付けのものと相性がいいです。


華やかな香りと甘みを感じつつ、料理と合わせて楽しみたいどっしりとしたワインです。

価格 21,380円
品種 ピノ・ノワール
味わい 辛口、フルボディ
生産 2011年

 

バランスがよく飲みやすい、みずみずしいワイン【カレラ ピノ・ノワール ライアン】


いちごやベリー系のみずみずしい甘い香りがふわっと漂うのが特徴です。


カカオのようなビターな味わいもありますが、ほどよく酸味もあってバランスがよく、飲みやすくなっています。生ハムやステーキなど、肉料理と合わせて飲むとより肉の旨味を感じることができます。


クセが強くなくて飲みやすい、甘みを感じられるワインです。

価格 16,500円
品種 ピノ・ノワール
味わい 辛口、ミディアムフルボディ
生産 2007年

 

カレラのワインの飲み頃と美味しい飲み方


最後に、せっかく手に入れたカレラワインを美味しく楽しむために、知っておいていただきたいポイントをご紹介していきます。

カレラが美味しく飲める飲み頃は


カレラのワインは熟成させることによって酸化が進み、より味わいが深くなっていきます。10年以上保存してから飲むのがおすすめです。熟成期間が短いと果実味がある味わいを感じやすく、長くなると果実味と酸味、ミネラル感が結びつき、複雑な味わいを楽しむことができます。

美味しく飲むための保存方法


普段はワインセラーのように温度と湿度のバランスが取れた場所に置いておくのが、最もワインにとってよい保存方法です。ワインセラーがなければ、乾燥を防ぐため新聞紙や梱包材でくるみ、丁度ワインが入る大きさの段ボール箱に詰め部屋の一番涼しい場所においておきましょう。


保存するときはコルクの乾燥を防ぐため、必ず横向きにしてください。コルクが乾燥してしまうと空気が入り、酸化しやすくなってしまったり、コルクの劣化を招く恐れがあります。

美味しく飲む方法


ワインの温度は、寒い時期なら室温、暑い時期なら室温より少し冷やすくらいが適切です。目安は14~16℃と覚えておくと良いでしょう。温度が高すぎると味わいのバランスが崩れるため、事前に冷やしておきグラスに少しずつ注ぐなど工夫をすると、美味しく楽しむことができます。

「カレラ」は歴史を知ってこそ違いが分かるワイン!


今回は、ピノ・ノワールの最高峰と名高いカレラワインの歴史やこだわり、美味しく飲むためのポイントを詳しく解説し、おすすめのカレラワインをご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。


なかなか手に入れることのできない、希少なワインです。カレラワインの歴史や魅力についてよく知った上で、偶然出会うことができた際には、ぜひ一度手に取ってみてください。ワインの楽しみが広がること間違いありません。